経営情報

対処すべき課題

中長期的な会社の経営戦略と優先的に対処すべき課題

今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大については、ワクチン接種の広がりに伴う経済活動の正常化が期待される一方で、新たな変異株による脅威などの不安要素も否定できず、依然として、先行きが見通せない状況が続くものと思われる。

また、悪化しているウクライナ情勢についても未だに収束までの道筋は見えず、資源価格の高騰など様々な景気下振れリスクが残ることが想定され、先行きは依然として不透明な状況となっている。

このような状況のもと、当社グループでは2021年度から2023年度における3か年の中期経営計画を実行中であり『未来を切り開く、快適環境のソリューショングループをめざして』を基本テーマとして掲げ、急激に変化する社会環境に主体的に対応し、未来志向で事業の発展に取り組んでいく。

(新型コロナウイルス感染拡大防止への対応)
新型コロナウイルス感染症に対しては、お客様やお取引先様、当社グループ従業員及びその家族等をはじめとする全てのステークホルダーの安全確保と感染拡大防止を最優先に考え、政府や自治体の発令や方針に応じるとともに、出勤時のマスクの着用やアルコール消毒の徹底はもとより、不要不急の出張・社内行事の自粛、リモート会議の実施、感染者発生時における対応等について定めた独自の「新型コロナウイルス対応ガイドライン」を策定し、安全確保と事業継続に向けた対策に取り組んでいる。

(気候変動リスクへの対応)
当社グループでは、2050年までに事業活動に伴うCO2排出量を実質ゼロにすることを目標として脱炭素活動を開始した。気候変動リスクへの対応を早急に解決すべき重要課題だと捉えており、温室効果ガスの排出削減等に取り組む“緩和”の側面としては、「グループ環境方針」に則った事業活動におけるエネルギー使用の合理化及び電気需要の平準化等の従来からの継続した取り組みに加えて、SBT(民間企業における科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出量削減目標の設定)認証取得に向けて、社用車両のEV・HV化や事業所における再生エネルギー電力の調達等をはじめとした具体的な取り組みを開始した。また、商品開発分野においても100%リサイクル建材や環境配慮商品などのラインアップをさらに拡充し、環境負荷軽減への取り組みも推し進めている。一方で、変化する気候の影響を将来にわたり回避・軽減する“適応”の側面としては、社会問題化しているゲリラ豪雨や集中豪雨等による建物等の防災ソリューションとして、公共団体や企業のBCP支援、店舗や住宅の浸水被害対策など、多様な場所や用途に対応できる止水関連商品のラインアップの拡充やお客様や利用者様等への適時的確なご提案を推し進めている。

(多様な働き方支援への取り組み)
当社グループでは、全ての従業員が働きがいを持って業務に従事できるよう、多様な働き方を支援する取り組みを推し進めている。「労働時間の見える化」による長時間労働の抑制やICT(情報通信技術)環境の整備による在宅勤務・リモートワークの実施、業務効率や生産性向上をさらに追求するためのDXへの取り組み、職種や生活環境に合わせて効率的に業務を行うフレックスタイム制度の導入等を行うとともに、育児休業制度や介護休業制度など、従業員のワークライフバランスを重視し個々人のライフスタイルに柔軟に対応できる人事制度の拡充など、性別や国籍等の別なく全ての従業員が活躍できる職場環境の構築に取り組んでいる。また、働く仲間を尊重しあう風土づくりをめざし、差別やハラスメントについての正しい知識を身につけるための教育や研修等についても積極的に取り組んでいる。なお、当社では将来にわたる持続的成長を実現するため、人材育成等により従業員の成長を促し、安心して長期的に働ける環境を整備する取り組みの一環として、従業員の定年年齢を2023年度から2年毎に1歳ずつ引き上げ、2031年度に65歳まで引き上げることを決定した。今後も、世代を問わず多様な人材が活躍できる環境づくりに、積極的に取り組んでいく。

(CSRの推進について)
当社グループでは、事業活動の原点である「社是(誠実・努力・奉仕)」をはじめとして、企業活動における行動指針である「経営理念」や、「CSR憲章」を常に意識して事業に取り組んでおり、全ての法令を順守し、公正な事業環境の中で利潤を追求すること、事業活動を通じて広く社会に貢献することが社会との信頼関係を構築することであると強く認識しており、コンプライアンス体制整備に恒常的に取り組んでいる。また、企業の持続的成長・発展のための重要なテーマであるESG(環境・社会・ガバナンス)及びSDGs(持続可能な開発目標)を重視しながらCSR(企業の社会的責任)を一層積極的に推し進めていくことで、当社グループの企業価値向上と持続可能な社会の発展に向けた取り組みを強化していく。

(TCFDの提言に沿った情報開示)
当社がめざす人と地球の「快適環境」は、健全な地球環境の上に成り立つものであり、気候変動を含む環境問題への対応を重要な経営課題の一つとして位置付けている。当社は2021年10月に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明しており、その提言に基づき気候変動が事業活動に与える影響について、積極的に情報開示を推進していく。

<ガバナンス>
当社では、CSR憲章に基づいた活動全般をBXグループ全体で推進するCSR委員会を設置している。CSR委員会は業務担当役員が委員長を務め、当社グループ全体のコンプライアンスをはじめ、CSR4憲章マテリアリティの特定や気候変動が当社グループに及ぼす財務への影響などCSR活動全体の整備、教育、啓蒙などを担い、またそれらに関する情報や結果などを常務会を通して取締役会に報告している。
常務会は代表取締役が決裁を行うための任意の諮問機関として、取締役会付議議案や報告事項について事前に審議することになっている。気候変動が当社の事業活動や財務に与えるリスクと機会などについても、取締役会への定期的な報告等を行う場合は、事前に常務会における審議を要することとしている。
取締役会は定期的にCSR委員長である業務担当役員より、気候変動が当社の事業や財務に与えるリスクや機会についての報告を受け、その内容について審議・評価を行う。

<戦略>
当社は、事業活動における環境負荷を低減する環境保全活動をはじめ、「エコ&防災」で取り組むエコ事業及び気候変動リスクへの適応事業など、さまざまな角度から環境課題に取り組んできた。喫緊の社会課題である地球温暖化防止に貢献することをめざし、2021年5月に「BXグループ2050年脱炭素宣言」を定め、2030年までにCO2排出量を46.2%削減(2019年度比)、2050年までにCO2排出量を実質ゼロにすることを宣言した。さらに2022年5月にはグループ環境ビジョン「Blue neXpand 2050 未来にひろげよう青空を」を策定し、脱炭素化をめざした地球温暖化防止への取り組みだけでなく、快適環境を追求した新たな価値の創造にも積極的に取り組んでいる。
また、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が公表した複数のシナリオを参照の上、財務影響及び事業インパクトを評価するとともに、気候変動リスクと機会に対する戦略の有効性を評価することを目的として、シナリオ分析を実施している。
この評価を踏まえ、今後対応策を含めさらに議論を深め、より有効的な戦略を推進していく。

●シナリオ分析
当社では気候変動の問題を経営上の重要な影響を及ぼすリスクと機会と捉え、自社の事業戦略に大きな影響を及ぼすとの認識のもと、主力事業であるシャッター及びドア事業における気候変動に伴うリスクと機会を2℃未満シナリオと4℃シナリオの2つのシナリオにて分析し、それぞれのシナリオにおける移行リスク、物理リスクそして機会を特定した。
特に自社にとってインパクトが大きいと想定されるドライバーについては、財務インパクトに関する分析を実施した。財務インパクトの分析では、一定の前提のもと、2050年までの損益計算書(PL)・貸借対照表(BS)・キャッシュ・フロー計算書(CF)のシミュレーションを実施し、特定したドライバーのPL・BS・CFへの影響度とその重要性を評価した。
シナリオ分析に基づいた気候関連リスクと機会の評価結果のうち、特に影響度が大きいと評価したものは次の通りである。

シナリオ名 想定する世界観
2℃未満シナリオ
(SSP1-2.6)
環境規制が強化され、ZEB・ZEH水準の建物が普及。省エネ性が高い商品、再エネサービスの需要が増加している。
4℃シナリオ
(SSP5-8.5)
環境規制は現状のレベルを維持し、ZEB・ZEH普及は大きくは進展しない。一方、自然災害の頻発化から、防災・減災製品の需要が増加している。

事業/財務インパクトの影響度評価
 大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
 中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
 小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される

<リスク管理>
当社では、気候変動の問題を経営上の重要な影響を及ぼすリスクと機会と捉え、CSR委員会の気候変動チームが各種会議体を通した気候変動リスクと機会のモニタリング、評価及び重要なリスクと機会の特定を行っている。気候変動チームはCSR統括部を中心に、経営企画部、製造企画部、人事総務部、経理部のメンバーによって構成されている。
気候変動リスクと機会の特定にあたり、気候変動チームはCSR統括部主導のもと、気候変動に関するシナリオ分析を実施している。シナリオ分析から導出された重要な機会とリスクについてはCSR委員会での検討を経て、常務会、取締役会に報告、提言される。
なお、シナリオ分析で試算した財務インパクトは、一定の前提条件を元に試算しており、現時点では発生の蓋然性について判断が困難な要素も分析に織り込んでいる。気候変動チームでは、今後の経済情勢や日本及び世界の気候変動に関する取組みを鑑み、一定程度蓋然性が高くなると考えられる要素について、具体的に事業計画に織り込むようCSR委員会にて検討を行い、常務会、取締役会に進言する役割を担っている。

<指標と目標>
当社では、長期ビジョンで掲げる「快適環境ソリューショングループ」を実現するために、快適に過ごせる健全な地球環境を取り戻すことを目的に事業の脱炭素化に取り組み、持続可能な社会の構築に貢献する。その目的を達成するために、2021年5月に「BXグループ2050年脱炭素宣言」を公表した。
今回実施したシナリオ分析から導出された結果並びに今後必要となる対応策と「BXグループ2050年脱炭素宣言」で想定している取り組みは整合的である旨を確認できた。グループ一丸となり以下に掲げる2050年・2030年目標に向けて取り組みを加速することで、持続可能な社会の構築に貢献していく。
なお、2030年に向けたCO2削減目標については、現在SBTに認定を申請している。

●2050年指標と目標
・BXグループが事業活動で排出するCO2(Scope1及びScope2)を実質ゼロにする ・サプライヤーと協力・連携し、サプライチェーン全体でCO2削減に取り組む

●2030年指標と目標(SBT1.5℃目標)
・Scope1及びScope2 46.2%削減(2019年度比) ・Scope3 購入した製品・サービス(カテゴリ1)及び輸送・配送(カテゴリ4)27.5%削減(2019年度比)