第三者意見

駿河台大学名誉教授・博士(経営学)
水尾 順一様

(株)資生堂を経て1999年駿河台大学助教授、2000年教授、現在に至る。日本経営倫理学会副会長、(株)アデランス社外取締役、(株)西武ホールディングス企業倫理委員会社外委員、経営倫理実践研究センター首席研究員、2010年ロンドン大学客員研究員他。著書『サスティナブル・カンパニー:「ずーっと」栄える会社の事業構想』(株)宣伝会議など多数

企業でCSRの実務を推進し、大学でその理論構築をして「CSRの理論と実践の融合」を社会に促進してきた立場から、BXグループの「CSR報告書2018」について以下に第三者意見を申し述べます。

● 高く評価できる点
BXグループ創業の精神と経営理念に基づき、一貫した価値創造の軌跡とストーリーが見える化されています。

2018年で創業63周年となるBXグループのCSR活動は、創業の精神である「誠実・努力・奉仕」と経営理念を基盤に、本業を通じた戦略的CSRへの取り組みが、進化と深化を続けています。その背景にはトップマネジメントの揺らぎない姿勢と、企業としての確たる信念があるからこそと考えます。
今年のCSR報告書からも、シャッター・ドア事業で伝統を守りつつ絶え間ない革新に取り組む、創造と挑戦の姿勢を知ることができます。たとえば、冒頭の価値創造の軌跡と広がりに紹介されている同社グループの[ヴァリフェイスAi/Ae]の開発なども、常に時代を先取りさせて進化する活動といえます。
さらに、これらの新しい取り組みが社会やお客様の視点からどのように捉えられているか検証する意味も含めて、消費者との接点を持つマンション分譲の明和地所(株)、ビル・住宅建材の設計施工の横浜ビル建材(株)とのステークホルダーダイアログを実施しています。この特集記事を通じて、「貢献と成長の両立」という同社がめざす住まいづくりを通じた社会課題の解決と同社の経済価値の追求が、CSV(共益の創造)に結びついていることを知ることができます。
また、企業の持続可能な発展から重要と考えられているESG(環境・社会・ガバナンス)の視点を昨年提案させていただきましたが、今年のCSR報告書ではCSR憲章と行動指針との連携として明示されています。しかも、各憲章ごとに2017年度の取り組みと評価を行い、2018年度の重点課題と目標の設定に結びつけたことは、従業員やお客様、取引先など社内外のステークホルダーに対する説明責任を果たすことと、全社一丸となって共通の目標に向かい取り組む姿勢の表明にもつながっています。

● 今後の改善に期待する点
時代が求める社会課題への取り組みとして、CSR行動指針とESG、さらにはSDGsとの連携を期待します。

CSR報告書2018では、先述のとおりCSV(共益の創造)、ESG(環境・社会・ガバナンス)、人権・労働を重視する「働き方改革」など、今の時代に求められるCSRの重点課題について触れられ、BXグループとして新しい取り組みが進んでいることが伺えます。
一方、世界的動向としてSDGsが注目され、日本でも日本経済団体連合会においては企業行動憲章が改訂され、Soci ety5.0の実現を通じたSDGsの達成として期待が高まっています。同社でもすでに「SDGs対応検討委員会」が発足しその取り組みがスタートしており、今年度はCSR憲章に基づくCSRの取り組みをESGで分類していることから、今後は横軸でSDGsの17項目とマトリックスさせることで、SDGsとの連携をより明確にさせ、全社的な課題が見える化されることを期待します。これらの活動の結果、同社グループに新しいCSRのイノベーションが生まれ、持続可能な発展に結びつくことを心から祈念しています。

第三者意見をいただいて

文化シヤッター
執行役員 CSR統括部長
松山 成強

当社グループのCSR報告書につきまして、引き続き貴重なご意見を頂戴し、誠にありがとうございます。
現在、当社グループは中期経営計画のもと、グループを継続して成長させるために、事業領域を拡大させることに注力しています。社是・経営理念とトップマネジメントの姿勢を背景に、戦略的CSRの範疇でもある5つの価値創造分野にも注力して、社会課題の解決も追求していきます。
特集で取り上げた玄関引戸の開発ストーリーについてご評価いただきましたことは、今後の大きな励みとなります。一方、昨年ご意見を頂戴しました、普遍的な価値である「基盤的CSR」についても、ESG分野における重点課題を「CSR憲章」に照合させ、中・長期的な視点を持ちながら継続的に取り組むべきものとしました。
今回ご提言をいただきましたように、当社グループも持続可能な開発目標(SDGs)の実現をめざし、重点的に取り組むべき社会課題についてマテリアルな項目を明確にして取り組みます。 このように、グローバルな視野を意識しながらCSR活動に確実に取り組むことで、持続可能な社会の実現と長期的な企業価値の向上をめざしてまいります。