環境配慮技術・商品開発

環境配慮設計

文化シヤッターでは新商品の開発や既存商品の改良に際し、ライフサイクルの各段階において商品が環境に与える影響を評価し、環境に配慮した商品開発を図っています。2007年に制定した「環境配慮設計指針」は、時代に応じて改訂し、LCA(ライフサイクルアセスメント:商品のライフサイクルにおける環境負荷を定量的に評価する手法)により環境配慮基準を明確にしています。当社では、「省エネルギー性」「環境負荷の軽減」「資源循環」の観点から留意すべき設計項目において評価を行うことで、商品開発の環境配慮化を進めています。
環境配慮商品の評価項目
1)CO2排出量削減設計
商品の生産・使用に伴うCO2の排出を削減するため、商品製造にかかるエネルギーの低減や、使用時の省エネルギー化のための性能を追求した設計。
2)3R化設計
資源循環のため3R(リデュース、リユース、リサイクル)を考慮し、リサイクルのしやすさに配慮した設計、商品を長く使用できる高耐久性設計およびメンテナンス性を向上させた設計。
3)有害物質削減設計
生産時、使用時、廃棄時に人の健康や環境に負担がかかる有害物質を削減したり、適切に管理できるようにする設計。
CO2削減計画におけるLCA
商品のライフサイクルにおいて、段階ごとのCO2排出量から製品の生涯CO2排出量を算定する取り組みを推し進めています。
LCA
VOICE
ライフイン環境防災研究所
係長
岩田 保

商品開発における環境配慮設計の構築当初は、他社事例もまだ少ない時代で、評価方法や仕組みづくりを手探りで行うなど、いろいろと困難を極めたこともありました。時代の要請に応じ、改良や内容の充実化を図るにしたがい、BXグループ独自の環境配慮設計評価のシステムが確立されつつあります。また、商品開発担当者の環境配慮設計への意識も進んできたと感じられ、設計評価を構築してきた担当者としてうれしく思います。今年度は事業の脱炭素化を視野に、CO2排出量削減設計におけるLCAを更新する予定です。設計評価を通じて脱炭素化への意識づけを向上させ、さらには脱炭素化に寄与する商品づくりが加速することを期待しています。今後も評価内容をより使いやすく、時代に即したものにすべく改良に努めていきます。

気候変動の緩和ソリューションの拡充

BXグループのエコ事業とは、CO2の排出や、森林の破壊、プラスチックごみの問題などといった温暖化の原因となる問題に対し、環境負荷低減やサーキュラーエコノミーの実現、森林保護などをめざしたソリューションを展開することで、地球温暖化の緩和に取り組むものです。
商品の企画・設計に際しては、使いやすさや性能向上だけでなく、資源の調達から使用を終え廃棄に至るまでのライフサイクル全体において、商品が環境に与える影響について評価し、環境に配慮した商品開発を推進すると同時に、既存商品についても省力化をめざした改良を重ねています。
2018年にはエコ事業のさらなる拡充をめざし、循環型社会の実現に貢献する木材・プラスチック再生複合材「テクモク」の原材料を生産する(株)エコウッドをグループに迎え、一気通貫の生産体制を整えました。
その他、BXテンパルの主力商品であるオーニングは、日差しを調節することで屋外と室内に快適な空間を創り出し、高い省エネ効果と体感温度を下げるのに有効な暑熱対策として注目され、キッズデザイン賞を2年連続受賞するなど、「快適環境」を創出する当社グループの代表的な環境配慮商品の一つとなっています。
今後も気候変動の緩和に貢献するエコ事業を拡充・発展させることで、持続可能な地球環境の保全に貢献したいと考えています。
ソラカゼ
BXテンパル スライドキャンバス「ソラカゼ」

気候変動の適応ソリューションの拡充

BXグループは創業以来、建具を通じ、人の命と暮らしを守るさまざまな防災ソリューションを提案してきました。
近年は地球温暖化が進行し、さまざまな悪影響による損害や被害が重大な社会問題となっており、いざという時の日頃の備えが特に重要視されています。BXグループでは、気候変動によって発生する大規模自然災害に対し、損害・被害を最小限に抑える「適応ソリューション」の拡充を図っています。
都市型水害から都市機能を守る「止水マスターシリーズ」
短時間豪雨の増加により、河川の氾濫や下水道の内水氾濫による被害が深刻化しています。浸水被害は復旧に費用と時間がかかるだけでなく、都市機能をストップさせ、経済的にも大きな損失となります。
文化シヤッターでは、さまざまな場所や用途に応じた止水商品を「止水マスターシリーズ」として展開し、拡充を図っています。災害時には防災インフラとしての機能も期待される交通インフラ設備へのBCP(事業継続計画)を支援するほか、施設運営の無人化に対応した浮力起伏式の止水板や、「簡単・スピーディー」をコンセプトとしたシニア世代や女性一人でも持ち運べ、簡単に設置できるタイプの止水シートなど、いざという時に即応できる止水商品をラインナップしています。
今後は日本国内はもとより、モンスーンアジアに位置する国々の防災・減災への貢献も視野に、災害に強いまちづくりの構築をめざし、浸水に対するレジリエンスを高める自助の備えを支援していきます。
アクアフロート
浮力起伏式止水板「アクアフロート」設置イメージ

自然と共生する社会の実現をめざしたソリューション

木造建築は、木材が炭素を貯蔵することや、鉄筋コンクリート造等と比べ材料製造時の環境負荷が少ないことから、カーボンニュートラルへの貢献が期待されています。
BXカネシンは、木造建築の建築金物や建築用資材の製造・販売を通じ、木造建築の普及を促進しており、中でもMP木造建築の製品・技術開発に注力しています。2021年8月に発売した「MPねじ接合システム」は、BXカネシンとして初めて木造トラスに着目した製品です。トラスは三角形を単位として構成される構造形式のことで、「MPねじ接合システム」は、ビスとボルト、プレート金物で木造トラスを構成します。製作金物や専用の補強金物を使用せず、幅12m程度の無柱空間を実現するため、倉庫や畜舎など、中規模建築の木造化に最適です。
MPねじ接合システム
MPねじ接合システム
トラス構造のイメージ
カーボンニュートラルの実現には「伐って、使って、植える」という森林資源の循環利用の推進が必要であることから、2021年10月に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の改正が施行されるにあたり、法律の題名が「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」へと変わります。脱炭素社会の実現に向け、公共建築物だけでなく民間建築物も木造・木質化促進の対象となります。
BXカネシンはMP木造建築の製品・技術開発を通じて、拡がりをみせる建築物の木造化や木材利用に貢献し、自然と共生する社会の実現をめざします。
※MP=Multi Purpose(多目的)の頭文字。BXカネシンは、これまで〈非住宅〉や〈中・大規模〉と呼称されてきた木造建築を新しく「MP木造建築」と統一しています。