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「快適環境」の追求により社会における存在価値を高め
持続的な成長をめざします

代表取締役社長 執行役員社長
2021年4月1日付けで代表取締役社長を拝命しました。
この価値観転換の時代に経営のバトンを引き継いだ重責に、身の引き締まる思いです。先人たちが築いてきた歴史と伝統を継承しながら、スピード感を持って時代の変化に即応し、BXグループの持続可能な成長と社会的価値の向上に向け、まい進してまいります。
新型コロナウイルスの対応状況について
はじめに、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々に心からのお悔やみを申し上げます。また罹患された方々の一日も早い回復をお祈りすると共に、この長きにわたるウイルスとの闘いに最前線で尽力されている医療従事者や社会を支えてくださっている皆様に、深く敬意を表し、感謝申し上げます。
BXグループでは、グループ従業員をはじめ、お客様、お取引先様、そして関係する全ての皆様の安全確保を第一に考え、感染防止に努めながら事業活動を推進しています。かねてより従業員の幸せを実現する働き方をテーマに改革を進めており、感染拡大に応じて速やかにリモート勤務への切り替えを実施し、職種ごとに感染対策を徹底した働き方へと移行することで影響の最小化に努めました。
コロナ禍においては、解決すべき課題が顕在化したという面もあります。今後起こりうる想定外の事態においても、事業活動を継続させメーカーとしての責任を果たすために、リスクの分散化やサプライチェーンの強靭化を進めると共に、さらなる業務改革やスマート化を加速させ、経営のレジリエンスを高めていきます。
この危機を従業員と共に乗り越え、「揺るがない企業」へと成長したいと考えています。
中期経営計画(2016年~2020年)を振り返って
2020年度を振り返りますと、住宅・ビルの建築着工数の減少に加え、新型コロナウイルス感染症の拡大が工事の中止・遅延を引き起こすなど、急激な需要減が当社の受注にも少なからず影響したことにより、基幹事業、注力事業ともに計画未達、中期経営計画の目標達成には至りませんでした。その一方で、2016年~2020年の前中期経営計画において実施した収益基盤を強化する事業ポートフォリオ毎の政策が、成果として表れはじめています。
前中期経営計画では、市場の変化を見据えた事業基盤を築く「成長戦略の構築」を基本方針として、グループの成長を支えてきたシャッター・ドア事業を基幹事業、今後の発展を担うエコ&防災事業、ロングライフ事業、メンテナンス事業、海外事業等を注力事業として事業区分を整理しました。
気候変動の緩和と適応に直結して貢献するエコ&防災事業や、BXグループの強みである総合力を活かしたメンテナンス事業、積極的なM&Aにより新規市場の開拓を図った海外事業では、順調に事業規模を拡大させつつあります。
収益面では課題の残る結果となりましたが、グループシナジーで当社グループが誇る「技術力」と「施工力」を最大限発揮し、BXブランドに磨きをかける社会課題解決型ビジネスモデルの確立に、今後の成長を期待させる手ごたえを感じています。
VUCA(ブーカ)の時代と言わるように、将来の予測がつきにくい不透明な時代においては、リスクと機会の見極めがより重要となります。
経営および事業リスクの最小化に努めると共に、激しく変化する社会情勢の中にビジネスチャンスを見出し、新たな価値創出への挑戦を弛まず続けていきたいと考えています。
2021年にスタートした新中期経営計画の概要
新中期経営計画は、BXグループがめざす「快適環境」のさらなる追求により、未来志向で事業の発展に取り組む2023年までの事業計画です。
本計画では、以下の3つを骨子にさらなる経済的価値と社会的価値の向上をめざします。
①資本コストとバランスシート経営を意識し、資本構成の最適化に基づいた経営戦略を推進する
投下資本に対してBXグループが創出する経済的付加価値をBxVAと定義し、2023年に30億円まで増加させます。資本効率の向上を図り、今まで以上に収益性を重視した経営戦略を推進することで、ビジネス価値の最大化を図ります。
中期経営計画 経営指標
※BxVA(Bx Value Addedの略)
 投下資本に対する付加価値額を表す。計画値は法人実効税率30.62%として計算。
②株主還元を大幅に強化する
事業基盤の拡充と、市場の変化に即応する機動的な経営を可能にするための内部留保を勘案し、バランスの取れた経営を基本方針に株主の皆様への利益還元の最大化に努めます。
利益配当は当期純利益の35%(配当性向35%)を配当額の目途とし、自己株式取得を含めた株主還元政策を推進していきます。
③基幹事業は生産性の向上を追求、注力事業は規模を拡大することで売上高構成比率34%をめざす
基幹事業では、デジタル技術を駆使したDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進することで業務の効率化による生産性の向上を図ると共に、ニューノーマルの時代における「快適環境」を追求し、住宅や建物のスマート化、インテリジェント化に対応した商品のIoT化を進めます。現在、より厳しさが増すと予想される受注環境に対応すべく、営業活動の効率化をめざした営業支援体制の強化を進めており、複雑化、細分化するニーズへの対応はもとより、総合的なコンサルタント営業により利便性や安全性、快適性にコミットする営業力を養い、当社グループの主力事業である基幹事業の基盤固めを進めます。 注力事業のエコ&防災事業は、地球環境の保全や都市基盤の強化といった喫緊の課題に対して、直接的にアプローチする社会貢献型事業の要です。気候の変化による影響を包括的に評価・分析する「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が発表した最新の報告では、深刻化する地球環境の悪化に強い警鐘を鳴らしており、温暖化が原因と言われている熱波や極端な豪雨などの異常気象が今後さらに頻発すると予想しています。気候変動がもたらす損害・被害の最小化に向けて、エコ&防災事業の拡充を早急に進め、人々の安心・安全・快適な暮らしに幅広いご提案ができるよう努めていきます。 その他の注力事業においても積極的な事業展開により、注力事業を2023年に売上構成比34%まで向上させます。
以上の骨子を3本柱に、基盤となる事業のより一層の深化と、今後の発展を担う事業での新たな価値の創出を両立させ、「未来を切り開く快適環境のソリューショングループ」を実現させるのが新中期経営計画の概要です。
2023年度 各事業成長ポートフォリオ
※四角・円のサイズは各事業の売上規模
BXグループのESG経営とは
気候変動が引き起こす甚大な影響は、SDGsが掲げる17の目標全てに関わるものであり、特にCO2の削減は地球規模で解決すべき重大な課題として重要視され、サステナブルな社会をめざした考えや行動が全世界で広がっています。
また、新型コロナウイルス感染症拡大により、世界は予期せぬ形で大きな転換点を迎えており、不確実性が増す社会変化の中で、企業はどのように成長を果たすべきか、今その根本を問われているように思います。
BXグループが持続的に社会から必要とされる企業となるためには、第一に「なんのための事業活動なのか」というBXグループが社会に存在する意義を見失わないことだと考えています。
BXグループが、社会に、そして人々の暮らしに提供する価値は「快適環境」、すなわち〈現役世代の私たちも、そして将来世代も、健全な地球環境の下で安心・安全で快適な暮らしをおくる〉ことです。
BXグループの強みである技術力・開発力・施工力、そしてそれに脈々と受け継がれる創業の精神と企業文化に裏づけされた「BXらしさ」が加わり、社会と共鳴した価値創出を実現することで、BXグループの存在意義がさらに発揮できるのだと思います。
私たちは常に時代の変化に応じた「真の快適環境」を探求し、それを具現化するソリューション集団であるべきであり、現役世代、将来世代において人々の「快適環境」を実現するために、環境問題や社会課題の解決に事業で取り組む、これが私たちのESG経営の根源です。
そこで2021年からスタートした新中期経営計画では、環境・社会への取り組みをより事業戦略に融合させ、ESGの視点で事業を推進することで、社会における存在価値を高めることをめざします。
E環境 持続可能な地球環境保全
BXグループはこれまでも事業活動における環境負荷を低減する環境保全活動をはじめ、「エコ&防災」で取り組む環境事業および環境リスクへの適応事業や、自主的な環境貢献活動など、さまざまな角度から環境課題に取り組んできました。
これまでの活動を加速させ、喫緊の社会課題である地球温暖化防止に貢献することをめざし、5月に「BXグループ2050年脱炭素宣言」を社内に向けて発表し、2050年までにBXグループの事業活動から排出されるCO2を実質ゼロにすることを宣言しました。
CO2排出量削減にあたっては、国際的な基準に基づき、まずは2030年までに2019年度比排出量46.2%減をめざします。
また、コーポレートガバナンス・コードの改訂に伴い、気候リスクへの取り組みについてTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に沿った適切な情報開示を図ります。
S社会 持続可能な社会の形成と共生
ニューノーマルな時代への転換期を迎え、迅速な対応が求められる分野だと考えています。従業員の健康管理や働き方改革を適宜進め、選択できる働き方への環境整備、新しい生活様式に応じた分散型、ネットワーク型への業務転換等、より一層の制度の充実に取り組みます。
また、施工現場における労働環境や人員不足等に代表されるように、建築業界には改善すべき課題が多くあるのも事実です。コロナ禍で深刻さを増した非正規雇用者の待遇改善や「ダイバーシティ&インクルージョン」にも早急に取り組む必要があると考えています。
Gガバナンス ガバナンス体制の強化とリスクマネジメント
BXグループではCSR憲章の一つである「成長と共に」において「誠実な企業経営」を行動指針として掲げ、経営の透明性向上に取り組んでいます。4名の独立社外取締役による業務執行への監査・監督や、全取締役へのアンケートによる実効性評価の実施など、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図っています。
文化シヤッターは過去に独占禁止法違反という、二度と繰り返してはならない問題を起こしています。今後はさらにコンプライアンスの徹底に努め、ステークホルダーの皆様からの信頼を高めていく努力を怠ることなく、全社的に取り組んでいきます。
現在、文化シヤッターでは環境関連のワーキンググループや、DXプロジェクト、多様な人材によるマーケティングプロジェクトなど、従業員が主体となって経営戦略の立案に参画する多数の横断的な組織が発足し、活発な議論を繰り広げています。
目の前の仕事について、広い視野で社会的意義を考え、自分に何ができるのか、積極的に行動に起こしてくれる従業員が増えていることを実感しています。自らの仕事が社会の一役を担っているという実感が従業員一人ひとりの幸福感につながり、それにより引き起こされる主体的な行動変容によって、BXブランドがさらなる飛躍を遂げるものと確信しています。
BXグループの社会的意義を重視したESG経営によって、いかに社会における存在価値を高められるか、BXグループがこれからの時代を生き抜く鍵はここにあると考えています。
「快適環境」をソリューションするグループとして、幅広い分野でステークホルダーの皆様に頼られ、そして社会から選ばれる企業となるために長期的視点で事業展開を図り、持続可能な社会の構築に貢献していきます。